fMRIとAIで高精度判定
広島大学等の研究グループは3月16日、機能的磁気共鳴画像(fMRI)データを基に人工知能(AI)によりうつ病の特徴を抽出し、うつ病を高い精度で判定できることを初めて明らかにした、と発表した。
研究グループは、広島大学、株式会社国際電気通信基礎技術研究所(ATR)、量子科学技術研究開発機構(QST)、昭和大学、慶應大学、京都大学、東京大学の研究者を含む。
うつ病判別率84%と高精度
うつ病は、休職や自殺、引きこもりなどの要因で、抑うつ・意欲減退・焦燥感・不眠・食欲低下などを伴う精神症状を示し、現代において大きな社会問題になっている。また、客観的な診断法が確立されていない。
うつ病の治療は主に抗うつ薬で行われるが、その効果は十分でなく、また効果が出るまで時間を要する。
研究グループは、メランコリア特徴を伴ううつ病患者65名と健常者65名の計130名の安静時脳機能結合データを約10分間fMRIにより測定し、複数の機械学習アルゴリズムを組み合わせた人工知能(AI)を適用し解析した。
その結果、全脳の脳機能結合から、10個の脳機能結合がメランコリア特徴を伴ううつ病バイオマーカー(判別器)として抽出された。判別率は、84%(AUC0.91)と高精度であったとのこと。
治療開始後6-8週の再撮像では、抗うつ薬である選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)治療投与について、一部の症例において変化がみられない結合が存在することが分かったという。
今後は、抗うつ薬による変化がみられない脳機能結合をターゲットとした新しいうつ病の治療法開発が期待される。
(画像はプレスリリースより)
広島大学のプレスリリース
https://www.hiroshima-u.ac.jp/news/別掲
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