ナノファイバーセルロース樹脂複合材の共同研究
三菱化学と
王子製紙は、植物を原料とするナノファイバーセルロースと、樹脂の複合材の共同研究を行うことで合意した。
共同研究期間は2012年9月までを予定しており、有望な複合材料の選定、効率的な製造プロセスの確立、具体的な用途分野の探索を目的とする。
また、両社は共同研究と並行して事業性の見極めも行い、2012年度を目標とした共同事業化を目指す。
素材の優れた特性を活かし、幅広い用途に期待
ナノファイバーセルロースは、植物繊維を細かく解繊したもので、線熱膨張係数はガラス繊維並みに小さく、弾性率はガラス繊維より高いなど、優れた特性を有する。
植物が原料であるため、生産・廃棄に関する環境負荷が小さいことも特長。
透明で、自由な成型ができ、温度変化に伴う伸縮が少なく寸法が安定しており、しかも丈夫である、というナノファイバーセルロース樹脂複合材の特長を活かし、有機ELディスプレイのフレキシブル基板や、LED(発光ダイオード)の封止材など、今後幅広い用途への応用が期待される。
また、ナノファイバーセルロースを樹脂中に分散させると、不透明だが光をよく透過する複合材を得ることができ、有機EL照明のフレキシブル製膜基板や、さまざまな繊維強化プラスチックの代替素材としての幅広い活用が期待されている。
両社の技術を融合、開発スピードの向上と効率化を図る
三菱化学はナノファイバーセルロース樹脂複合材について、2002年8月から
京都大学包括的産学連携アライアンスのメンバーとして研究に参画し、研究開発を進めてきた。さらに、2007年9月からは京都大学によるプロジェクトにも参加している。
王子製紙も、従来からナノファイバーセルロースについて独自の研究開発を進めるとともに、上記プロジェクトに参加して、その知見をいっそう深化させてきた。
両社はそれぞれが持つ製紙技術、化学処理技術、複合化技術を融合させることで、開発スピードの向上と効率化を図ることが可能と判断し、共同研究をスタートさせた。