研究の背景
ロート製薬株式会社(本社、大阪市)は9月15日に、「パンテノール」が代謝を促進する作用を有することから、疲れ目症状の改善を目的として点眼薬に古くから配合されてきたものの、作用メカニズム研究や基礎研究を行った例はほとんどなかったため、現代人の疲れ目改善に、より効果的な点眼薬の処方開発に応用すべく研究の結果を発表した。
「パンテノール」の作用を確認
同社は「パンテノール」が「ムチン」と「ATP」に関わることに注目して、「ムチン」が涙液を安定化し潤いを保つために必要不可欠な粘性物質であることから、角膜上皮細胞に各濃度のパンテノール溶液を添加し、ムチン遺伝子の発現量を測定したところ、「パンテノール」によりムチン遺伝子発現が増加することが確認できた。
また、「ATP」が筋肉収縮などで使用されるエネルギー源であり、生命活動の維持に広く関わっていることから、「パンテノール」による疲れ目症状緩和効果にも代謝促進による「ATP」の産生が関与していると予想し、角膜上皮細胞に各濃度のパンテノール溶液を添加して「ATP」の産生量を測定したところ、結果「パンテノール」により「ATP」産生量が増加することが確認できた。
研究結果と今後
以上により、「パンテノール」が目の乾き、目の疲れに効果的に働くメカニズムの一端が解明された。ロート製薬ではこの知見を活用し、時代や環境の変化によって多様化していくユーザーの目の症状に合わせて、最適な成分を配合した製品を提供するとともに、ユーザーの目の健康を高めるために基礎研究にも積極的に取り組んで行く。
ロート製薬プレスリリース
http://www.rohto.co.jp/news/release/2016/0915_02/