大学生の夢、ロケットが金星へ
国内20の大学などによる共同プロジェクト、深宇宙探査機「
UNITEC-1」の開発で、愛知県蒲郡市の
愛知工科大の学生が製作を担当した機体が完成。最終試験を経て、今年中にも日本初の金星探査機「あかつき」に相乗り、H2Aロケットで打ち上げられる。地元企業のサポートも得て、ものづくりの先端を体験した学生は「自分の手で作ったものが宇宙に行くなんて信じられない気持ち」と打ち上げを心待ちにしている。
UNITEC-1は、1辺35センチの立方体で、「小型副衛星」と呼ばれるタイプの衛星。開発にはNPO法人「
大学宇宙工学コンソーシアム」に所属する大学、高専が参加した。国の宇宙機関以外の民間団体が、地球の重力圏外での活動に挑戦するのは、世界で初めてという試み。
愛知工科大では、工学部ロボットシステム工学科の奥山圭一准教授の研究室が参加。「以前から宇宙に興味があり、話を聞いて飛び付いた」という4年生の5人が、実験の舞台となる機体の製作を担当した。
企業もサポート、学生の気持ちに応える
学生らを全面的に支えたのが地元の精密部品加工業・
蒲郡製作所。部品の材料となる特殊なジュラルミンなどの製造・加工を請け負った。伊藤智啓社長は「プロとして、学生の引いた図面以上に精密なものを作り、学生の気持ちに応える仕事ができた」と産学連携の成果に胸を張る。
打ち上げは2010年度内とだけ決まっていて時期は未定。学生は4月に就職の予定だが、「絶対にこの目で見届けたい」と
種子島宇宙センターに駆けつけるつもりだ。