根強いシェアの理由は?
インターネット広告が主流である米国の広告事情。しかしダイレクトメールは根強いシェアを維持している。その理由は何だろうか?
25日、米ニュースサイト「the Street」にBrett Hershman氏のコラムが掲載された。
以下、the Streetより引用する。
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昔ながらのダイレクトメールが支持される理由
企業は毎年、顧客の約1/4を失うと言われる。そして企業は常にその損失分を補てんし続けなければならない。つまりあらたに顧客を創り続けなければならない。
顧客ではない潜在的顧客層からあらたに顧客を創る、需要を創る「需要創出広告」は、売り上げを高めるために最も重要な手法だと言われる。
インターネット広告が主流となった現在、しかし昔ながらのダイレクトメールにもいまだに大きな力がある。
米国では年間5000億円産業
Money Mailer社CEO Gary Mulloy氏は、「現状からみて、需要創出広告の面でインターネットはそれほど大きな効果を生んでいない。というより率直に言えば、生めない。」と語る。
電子メールの受信箱にあふれる広告メールが開かれる可能性が低い一方、 ダイレクトメールはほとんどの受取人の目に入る。需要創出広告の効果の点で、ダイレクトメールはテレビ広告に次ぐ力があるのだ。
広告産業全体の広告費のうち約2/3以上が需要創出の費用だと言われる。ダイレクトメールによる需要創出広告は、米国では毎月約1,500万世帯に送られている。
例えば、ナイキは自社商品の靴やアパレルを売るベースとして、運動のモチベーション作りにかなりの額の広告費を割く。
需要創出広告は、米国では年140億~150億ドル (約1兆470~1兆570億円) の大産業なのだ。そしてその約1/3 (年約50億ドル、約5240億円) を占めるのがダイレクトメールだ。
アメリカ人は一日平均570通の電子メールと17通のダイレクトメールを受け取っていると言われる。米郵便公社の統計では、米国では約98%の人か毎日ポストを確認するという。
マーケティングリサーチDNN社の2014年統計によれば、77%の人がポストに投函(とうかん)されたダイレクトメールのほとんどを開封するという。
これらの統計から考えると、ダイレクトメールは開かれる可能性が高いといえる。需要創出広告の最も効果的な手法は、ダイレクトメールとインターネットを組み合わせてホームページに呼び込む手法だ。
ダイレクトメールの利点は、安価なコストで企業の知名度を上げられる点。
Money Mailer社CEO Gary Mulloy氏は、「インターネットの特徴は、特定のユーザへのピンポイントアクセス。しかしビジネスに重要なのは不特定多数へのアクセス。 不特定多数へアクセスしてあらたな顧客を作る必要がある。」と語る。
昔ながらのダイレクトメールは、あらたな顧客を作るという面で、いまだ強力なツールなのだ。
the Street
https://www.thestreet.com/