酒粕のイメージを検証し、日本醸造学会で発表
月桂冠総合研究所では、酒粕を食べると「体が温まる」というイメージについて科学的に実証し、その研究成果を、「酒粕の血流改善および体を温める効果」と題して、2016年10月20日、日本醸造学会大会で発表しました。
研究の背景
月桂冠総合研究所は、20年以上にわたる、酒粕やその分解物の機能性についての研究の結果、数多くの効用(コレステロール低減、血中中性脂肪低下、抗酸化活性、肝機能障害保護など)を見出してきました。
これまでに発見した数々の機能性から、酒粕は健康に良いというイメージは定着しつつありますが、「酒粕のイメージ調査」の結果、「体が温まる」というイメージ一番強いことがわかりました。
一方で、酒粕を食べると体が温まることに関しての研究はほとんどなく、何となく「アルコールが入っているから温まるのだろう」というのが一般的なイメージでした。
酒粕そのものに体を温める機能があることを科学的に検証できれば、酒粕のさまざまな効用をより身近に実感し、食生活にも取り入れやすいのではないかと考えたとのことです。
酒粕を食べるとすぐに体が温まる
酒粕を1回食べて、すぐに体が温まるかどうかを確認した結果、酒粕を食べた人は、手の表面温度に上昇傾向が見られました。
指先の血流量をみても、酒粕粉末を食べた人だけが増加していることから、酒粕を食べるとすぐに体が温まることが裏付けられました。
毎日食べ続けても体が温まる
さらに、酒粕を毎日食べ続けるとどうなるかを調べるために、8週間をかけて試験を行いました。酒粕錠剤を食べたグループは、日時が経つにつれて手の温度の回復が早まり、30分後には指先までポカポカになっていました。
また同時に、筋肉量、基礎代謝量の変化を確認してみると、酒粕錠剤を食べたグループでは、いずれも増加傾向が見られました。
酒粕を食べるとすぐに体が温まり、さらに毎日食べ続けることでも温まることが実験によりわかり、「体が温まる」というイメージを科学的に確認できたとの発表です。
健康的な生活へのプラス
酒粕は、甘酒や粕汁にはもちろん、鍋料理、魚肉料理など多様な料理に調味料として加えることでおいしく食することができます。
今回、試験に用いた10gほどの量を毎日食べ続けることで、冷え性の改善をはじめ、さまざまな効用を体内に摂り込んで健康的な生活へのプラス材料になるとしています。
月桂冠総合研究所について
1909(明治42)年、月桂冠の11代目の当主・大倉恒吉氏が、酒造りに科学技術を導入する必要性から設立した「大倉酒造研究所」が前身です。
1990(平成2)年、名称を「月桂冠総合研究所」とし、現在では、酒造り全般にわたる基礎研究を行うと共に、バイオテクノロジーによる新規技術の開発、製品開発まで幅広い研究に取り組んでいる研究所です。
(画像はプレスリリースより)
月桂冠株式会社のニュースリリース
http://www.gekkeikan.co.jp/company/news/201610_03.html