「学卒看護師」の割合も、院内死亡率と関連あり
欧州9カ国の病院を対象とした大規模な後ろ向き観察研究であるRN4CAST(Registered Nurses Forecasting)が、米・国立看護研究所 (NINR:National Institute of Nursing Research)と欧州連合(EU:European Union)の資金提供を受け、米ペンシルベニア大学看護学部のリンダ・H・アイケン氏(Prof Linda H Aiken, PhD)らによって行われた。
看護師の作業量もしくは教育レベルと、院内死亡率との関連について研究結果がまとめられ、2月26日付ランセット(The Lancet)電子版に掲載された。
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削減への慎重姿勢、教育レベルの見直し求める
同観察研究は、欧州9カ国(ベルギー、英国、フィンランド、アイルランド、オランダ、ノルウェー、スペイン、スウェーデン、スイス)の300病院を対象に行われた。
一般外科手術/整形外科手術/血管手術を受けた50歳以上422,730例の退院データと、病室看護師26,516名のデータが用いられた。
研究の結果、看護師の担当患者が一人増えるごとに、入院患者が30日以内に死亡する確率は7%上がり(オッズ比1.068、95% CI、1.031~1.106)、学士号を有する看護師が10%増えると、入院中の患者が30日以内に死亡する確率は7%下がる(オッズ比0.929、95% CI、0.886~0.973)ことが明らかになった。
さらに、看護師の作業量/教育レベル/入院患者の死亡率、の各因子の相関分析モデリングにより、学卒看護師の割合が60%で、なおかつ、一人当たり看護師の担当患者数が平均6名である場合は、学卒看護師が30%で、なおかつ、担当患者数が平均8名である場合と比較して、入院患者死亡率は30%近く少なくなる、という結果が得られた。
学卒看護師採用の標準化政策を支持
EU議会は昨年2013年10月9日、看護師の資格要件を、12年の初等・中等教育の後に高等教育を受けた者、または10年の初等・中等教育の後に職業教育を受けた者とする決議案を承認した。
今回の観察研究の結果は、同EU決議のうち、看護師の資格要件を学卒者とする部分を支持する一方で、職業教育修了者とする部分については対立する可能性を含んだものとなった。 (本田 基)

Nurse staffing and education and hospital mortality in nine European countries: a retrospective observational study
http://www.thelancet.com/