腹膜透析廃液からの細胞により明らかに
岡山大学は同大学病院の喜多村真治講師(腎臓・内分泌・代謝内科学)、同大大学院医歯薬学総合研究科の槇野博史教授(腎・免疫・内分泌代謝内科学教室)らの研究グループが、腹膜透析に対して腹膜中皮細胞を選別・細胞移植することにより細胞治療効果が異なることを発見したと発表した。
(画像はプレスリリースより)
腎不全代替療法のひとつである腹膜透析は自宅で行うことができ、血液透析に比較して生活に合わせやすいというメリットを持っているが、腹部に透析液を入れるため腹膜機能が劣化し合併症を発症するというデメリットも持っている。
この研究は腹膜劣化を抑えられる上皮様腹膜中皮細胞と、腹膜劣化が悪化する線維芽様腹膜中皮細胞があることを明らかにしたもの。腹膜透析廃液から非侵襲的に細胞を採取・培養し形態学的・機能的に選別、それぞれに細胞治療を実施することで解明した。
開腹手術の合併症を抑える可能性も
ニュースリリースは
本研究は、今まで有効な治療がなかった腹膜劣化に対する新たな再生医学的な細胞治療の可能性を進めるのみならず、腹膜機能の医学的な見地からも新たな知見と思われます。(岡山大学ニュースリリースより引用)
と述べており、開腹手術における侵襲での腹膜癒着などの合併症を抑えられる可能性も期待できるとしている。(小林 周)

岡山大学 ニュースリリース
http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id109.html