接着分子の切り株が集積
近畿大学医学部病理学講座主任教授の伊藤彰彦氏、広島大学原爆放射線医科学研究所助教の見前隆洋氏らの研究チームは、喫煙によって招かれる代表的な肺の病気である肺気腫の発症メカニズムを発見した。
(この画像はイメージです)
肺気腫になると肺胞上皮細胞が徐々に死滅し、細胞の壁が破壊され、大きな気腔が作られる。患者の8割が喫煙者であることからたばこの煙の中に含まれるオキシダントが肺胞破壊の原因と考えられてきたが、肺胞上皮細胞死滅の原因はよくわかっていなかった。
今回の研究で肺気腫は分解酵素が活性化しているため、細胞側面の表面に固有の接着分子がどんどん切断されていることを発見。切り株がミトコンドリアに集積することで、肺胞上皮細胞の死滅を招くことを突き止めた。
今後の展開
肺胞上皮細胞の死滅を抑制することで肺気腫の発症を防ぐことができるのかを早急に動物モデル等で検証していく予定。
今回の研究成果は肺気腫の治療薬開発につながるもので、プレスリリースでは
1.接着分子切断を担う特定の蛋白質分解酵素に対する特異的な阻害薬
2.接着分子の切り株がミトコンドリアに集積するのを阻害する薬剤
(近畿大学プレスリリースより引用)
が候補としてあげられている。(小林 周)

近畿大学 プレスリリース
http://www.kindai.ac.jp/topics/assets_c/2013/10/press_1310