新しい作用メカニズム
大塚製薬は4月30日、同社が独自に創製した新規抗結核薬「Deltyba」(デルティバ)が欧州において、多剤耐性結核の適応症により販売承認を得たと発表した。
同剤は成人において耐性および忍容性のために効果的な治療法がない多剤耐性肺結核の患者対する治療レジメとの併用薬である。
結核菌の細胞壁を構成するミコール酸の生成を阻害することで効果を示し、結核治療の第一選択薬であるイソニアジドやリファンピシンに対して耐性を獲得してしまった結核菌種に対しても強い効果を発揮する。
同社は1971年の治療薬研究所設立時から結核を研究テーマとし、抗結核薬の開発に最も多くの投資を行ってきた。
(画像はプレスリリースより)
新しい治療選択肢に
同剤は2008年、欧州で希少疾病用医薬品として指定され、9カ国で臨床試験が実施された。
この臨床試験において、多剤耐性結核の標準治療に上乗せして「Deltyba」を2カ月間服用することで、喀痰中結核菌の消失がプラセボ群と比較して、統計学的有意に向上していたことが確認されている。
治療薬の不適切な使用や、強い副作用のために医療従事者の指示通りに治療薬を服用しないことなどから、抗結核薬の耐性が生じ、患者は治療期間の長期化や治療成功率の低下というデメリットを受けることになる。
同社は今後、患者が「Deltyba」の恩恵を継続して確実に受けられるよう、耐性菌を出現させないための最適な治療アクセス計画の作成に投資し、高蔓延国や臨床試験を実施した国々でも承認を取得できるよう努めていくとしている。(浅見園子)

大塚製薬 ニュースリリース
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