治験中止を発表
アステラス製薬株式会社とアステラス・アムジェン・バイオファーマ株式会社の両社が日本で共同開発を行っている胃がん治療薬のrilotumumab。米国アムジェン社が実施しているrilotumumabの治験全てを中止すると11月24日に発表した。
rilotumumabについて
rilotumumabは、肝細胞増殖因子や細胞分散因子のMETシグナル伝達経路を阻害するよう設計された治験中のヒトの細胞から作られた抗体であり、がん細胞の細胞増殖を抑えて生存シグナルを弱めることで、がん細胞が移動したり広がったりすることを防ぐ作用が期待されている。
なぜ中止になったのか
アムジェン社は治験薬rilotumumabの進行性胃がんに対する臨床試験中止を発表した。この決定を下したのは、RILOMET-1試験の独立データモニタリング委員会の安全性評価において、化学的治療単独群よりもrilotumumabと化学的治療併用群の患者死亡数が増加したことが認められたからだ。
当初の治験実施計画書では、2015 年 3月にも中間解析が予定されていたが、今回の解析結果からするとおそらくその時にも無益性基準に合致していただろうと考えられる。RILOMET-1試験 の詳細な結果は学会や論文投稿で報告される予定だ。
胃がんで苦しむ人のために
現在、アムジェン社は早急に臨床試験中止の手続きを進めている。そして治験に参加している患者へのフォローアップの方向性を示すため、rilotumumabの治験責任医師と連携をとっている。さらには、この結果を胃がん治療の研究と治療に役立てるために、治験責任医師と共に詳細なデータ解析を行っていく。

アステラス製薬、胃がん治療薬「rilotumumab」の臨床試験を中止(日経プレスリリース)
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=374563&lindID=4