耐衝撃性はガラスと同じ弱さ
毎日放送の情報番組、「たね蒔きジャーナル」に出演した京都大学の小出裕章助教授が、九州電力玄海原発の危険性を指摘した。
2009年4月に行われた検査で、金属製の圧力容器が98℃以下になると、ガラスのようにもろくなることが判明したという。
想定以上に進む圧力容器の劣化
原子炉の圧力容器は一般に鋼鉄で作られている。鉄などの金属は、ある程度の高温では衝撃を加えられても凹むだけだが、一定以上の低温になると衝撃に対してもろくなり、ガラスのように砕ける。
このもろくなる温度を脆性遷移温度と呼ぶ。通常マイナス数十℃という超低温だが、中性子を浴び続けることで劣化した金属では、脆性遷移温度がじょじょに上昇する。
圧力容器の劣化度は、同じ素材で作られた試験片を原子炉内に設置し、これを定期的に検査することで調べられる。
九州電力の玄海原発1号機は1975年に運転が開始された。翌1976年に行われた第1回定期検査では、脆性遷移温度は35℃だった。
その後、1980年の第4回定期検査では37℃、1993年の第14回定期検査では56℃とじわじわ上昇。直近の2009年は98℃という結果になった。
98℃以下の条件では、ガラスのようにもろくなるわけだが、九州電力では運転中の圧力容器がそのような「低温」になることはないため「健全性に問題はない」としている。
これに対し小出助教は地震などの際に急速停止すれば、温度が下がり、もろくなる可能性がある、と指摘する。
九州電力は試験片を廃棄
23日に経済産業省原子力安全・保安院が開いた専門家による意見聴取会では、「安全」とした九州電力の結論について、データ不足や分析手法の不備を指摘する声があがった。
想定以上に劣化が進んだ原因についても判明していない。
専門家から「もっと詳細なデータを」と要請された九州電力は、76年、80年の試験片が残っておらず、廃棄された可能性がある、と明かした。
従前から「原子力村」はしばしば同様の行動パターンをとってきた。過去の経験則に従えば、公正な再分析により不具合が発見される可能性が高かったため廃棄した、と考えるのがきわめて自然だ。

◆ざまあみやがれい!
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