病院の自家発電は不足している
医療機器センター医療機器産業研究所ではこのほど、東京電力管区内で行われた計画停電が医療機関に与えた影響について調査結果を発表した。
アンケートへの回答があった 338の医療機関が対象。停電時役立つ自家発電については、必要量すべてをまかなえる機関は1/4程度。停電中も通常通りの診療が可能だったのは、全体で2割、救命救急でも5割程度にとどまることがわかった。
マニュアルは無意味だった
初めてのケースだけに、限られた電力をどう融通するかについても迷いが見られる。
優先的に使われた機器は、患者監視装置70.7%、シリンジ・輸液ポンプ64.2%、人工呼吸器58.3%などだった。命を守るためのモニタリングや呼吸、輸液の確保が優先されている。
これに対して、「後から診療上の必要性が高いと判明した医療機器や医療設備など」については、CT27.5%、X線撮影装置24.9%、電子カルテ・事務会計用PCシステム18.6%などとなった。診断や会計まで含めたPCによるシステムの重要性を実感しているようだ。
また8~9割の機関が災害時のマニュアルを持っているが、ほとんど機能していない状況も多く見られた。
長時間の停電を想定していないためだ。福島第一原発事故と同様、想定すべき事態を限定しすぎていることが、リスク管理上最大の弱点と言える。

◆計画停電(発電容量不足)に伴う
医療機器等の使用状況に関する緊急調査
http://www.jaame.or.jp/mdsi/mdsirp004_summary.pdf