医療費初の35兆円ごえ
厚生労働省は9月30日、2009年度の医療費についてデータを発表した。国民全体の医療費は前年度より1兆1983億円(3.4%)増えて、36兆67億円となった。
また国民1人あたりの医療費は28万2400円で、所得に対する割合が初めて1割を超えた。
高齢者の増加で急増する医療費
年齢別で見ると、65歳以上の高齢者では、医療費が20兆円弱となっており、前年に比べ5.0%増加している。
1人あたりの医療費も65歳では68万7700円となっており、65歳以下の医療費16万3000円の4倍以上になった。
負担増で破綻も
全国健康保険協会は4日、中小企業に勤めるサラリーマンなどが加入する「協会けんぽ」について、2012年度は保険料が収入の1割を超える、という試算を発表した。
協会けんぽには、全国で約3500万人が加入している。協会けんぽの保険料は2009年度から毎年引き上げられており、負担の重さが心配される。
健康保険料の負担が増えると、保険料を支払うべき企業や個人が経済的に困窮し、結局破産や生活保護におちいるなど、かえって保険料が徴収できなくなるケースが指摘されている。
医療費が増大する中、このリスクを承知で保険料を値上げする自治体、団体が増えており、健康保険制度の先行きが危ぶまれる。

◆厚生労働省 医療費の動向
http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/database/zenpan/dl/kokumin_roujin20.pdf◆しんぶん赤旗
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-10-05/2011100502_01_1.html