政治は人生を台無しに……?
ロシアのニュースサイトThe Voice of Russiaは15日、ホノルルで日露両国が交わした経済発展協力の覚え書きについて、歓迎する記事を掲載した。
野田首相と会談したメドベージェフ大統領は「経済は私たちの人生を方向付けるが、政治は時として人生を台無しにしてしまう」と述べ、北方領土問題を棚上げにした経済協力を求めたという。
古くからある「期待」だが
日露の間にでは北方領土に関する問題が、戦後長く解決されないまま凍結されてきた。
経済的な苦境が続く中、ソ連時代から何度も、北方領土問題を棚上げにした経済協力を要請されてきたが、そのたびに日本側が拒否してきた経緯がある。
今回もそれに類するものであり、特に珍しい「期待」ではない。これまでと少し異なるのは、ロシアが経済的にうるおっている現在の状況だろう。
ロシアの専門家は「日本の中小企業進出」という具体的な項目を挙げて、強い期待感を表明。ロシア政府にはそのための環境整備を求めた。
意外にダメージが大きい欧州危機
14日にロシア国家統計局が発表した7~9月期の実質国内総生産(GDP)は前年同期に比べて4.8%増だった。
BRICsと呼ばれ、著しい経済発展を成し遂げているロシアの現状を物語る数字だ。にもかかわらず、領土問題を抱える日本に期待せざるを得ないのは、足元経済とは別に、先行きに対する不安を抱いているためである。
7~9月のGDPが増加した要因は、世界的な原油高にある。ロシアはGDPの約2割を原油輸出に依存している。
輸出先は欧州が主のため、欧州危機が深刻化すれば、大きなダメージを負いかねない。
こういったリスクを分散、軽減するために日本に対する「期待」を高めているのだとしたら、それを利用しての領土交渉進展も見込めるだろう。

◆The Voice of Russia
http://japanese.ruvr.ru/2011/11/15/60417930.html