富山・福井で食中毒死相次ぐ
富山県砺波市の焼き肉チェーン「焼肉酒家えびす」砺波店で生肉のユッケなどを食べた6歳の男児が4月29日、死亡した。
21日~23日の間に、同点で食事をした客に食中毒症状が相次ぎ、調査の結果、病原性大腸菌O111などが検出された。
厚生労働省によると、福井市にある同チェーン店で食事をした未就学男児が、4月27日にやはり大腸菌O111などに感染し、HUS(溶血性尿毒症症候群)を発症して死亡している。
image kimishowota 高齢者も要注意! 病原性大腸菌O111
今回、検出されたO111は、1997年に堺市で集団感染を引き起こした病原性大腸菌O157と同様、腸管出血性大腸菌の一種。
大腸菌の多くは無害だが、中にはこういった病原性を持つものがある。腸管出血性大腸菌には、他にもO128やO145などが知られている。
潜伏期間は2日~9日と長い。発熱や、腹痛、下痢などの一般的な症状の他に、重篤になると、死に至ることも。
症状が重篤になるのは、主にベロ毒素と呼ばれる毒素による。腎臓の毛細血管内皮を破壊し、急性腎不全や貧血症を引き起こす。
抵抗力のない高齢者や子どもがHUSを発症することが多い。厚生労働省が発表した資料でも、15~64歳では発症率が0.9%にとどまるが、65歳以上では3.20%と、3倍以上のリスクが報告されている。
高齢者、幼児は生肉を食べない方が安全
今回、食中毒との関連性が疑われる外食チェーン店を経営する「フーズ・フォーラム」では、東京の食肉処理センターから食材を仕入れていた。
問題となったユッケなどは、出荷側が「生食用ではない」として販売、フーズ・フォーラム側も認識していたが、独自判断で生肉として提供したという。
生食用とするためには国の基準があるが、この基準に強制力がないため、「生でも食べられる」と独自に判断したと語っている。
病原性大腸菌は熱に弱く、75℃で1分程度加熱するだけで死滅する。
著:ハッピーライフエンド編集長 谷垣吉彦
◆焼肉酒家えびす