世界で初めて高効率化の原理を解明
京都大学 大学院工学研究科の大北 英生准教授らは、高分子太陽電池の高効率化の原理を世界で初めて解明した。高分子太陽電池は、軽量、フレキシブルといった物理的な特長のみならず、印刷プロセスにより従来の太陽電池に比べて、はるかに安価に大量生産が可能という特長を有するため、次世代の太陽電池として世界中で研究されている。
せっけんの原理に注目
京都大学らは、高分子太陽電池の効率化の原理を解明するため、せっけんなどの界面活性剤が水と油の界面に自発的に集まる原理に着目した。
高分子太陽電池の3成分である高分子材料、フラーレン、色素の表面が有する過剰なエネルギー(表面エネルギー)の評価や薄膜内における色素の局所濃度を解析した。その結果、色素は界面に存在することが熱力学的に安定であるために界面に配置すること、また、高分子材料の結晶化に伴い、高分子結晶相から色素が界面に押し出されることも界面配置の要因であることが分かったという。
つまり、表面エネルギーが適切な色素を選択し、高分子材料などに結晶化しやすい材料を選択することにより、色素を界面に配置する内部構造の制御が可能であることを発見した。
この発見により、京都大学らは、新概念の「色素増感高分子太陽電池」の開発に確かな道が切り拓らかれ、今まで困難であった高分子太陽電池への色素増感の応用が飛躍的に進むものと期待する。なお、今回の成果は、科学技術振興機構(JST)の課題解決型基礎研究の一環でなされた。また、本研究の一部は、三菱化学との共同研究として行われた。
科学技術振興機構京都大学