ちょっと怖い?しかし、凄い
ビジョンケア社の開発した望遠レンズインプラントに、FDA(アメリカ食品医薬品局)の認可が下りました。直接目にはめ込むこの望遠鏡は、2.2~2.7倍に拡大してものを見せてくれるそうです。
アメリカでは高齢者中途失明の原因NO,1にあげられ、視野の中
央が見えなくなる黄斑変性症の患者に対する視力回復のためにつくられているこのインプラント。手術の際には、片目に望遠レンズインプラントをはめ込み、もう片方は周辺視野に必要なためそのままにしておきます。そのほか、インプラントのサイズが合わない患者には角膜移植の必要性があるといいます。
(画像はイメージ)
手術後には片方の目の見え方が変わるため、両目からの情報が正確に統合されるよう、脳の調整のためのリハビリをしなければなりません。
黄斑変性症とは
症状として、周囲は正常なのに見ようとするものだけが見えない・ 中心部がぼやけてしまい視界が狭くなる、などがあります。いままで目の病気にかかったこともなく、視力も良かったのに突然の発病という例が多く、とくに男性は女性の2倍もの発症率があるといいます。
日本では主に、レーザー光を使用した「レーザー光凝固術」、網膜の一部を切開して行う「脈絡膜新生血管抜去術」、黄斑の中心部にある 「中心窩」を移動させる「黄斑移動術」の3つの術式の手術が中心となっています。いずれも予後が不安定であり、完治となるのは難しいようです。
価格は1万5000ドル(約133万円)
望遠レンズインプラントの臨床試験では、患者の75%が深刻な障害から中等度の障害を改善との結果が出たのですが、2種類の倍率しか選べないという利便性の低さは考慮すべき点であり、価格の面からでも現段階では133万円と高額です。しかしながら、失明をまぬがれ、かつ「見える」状態を保てるという観点からでは、黄斑変性症患者にとって価値ある器具といえるのではないでしょうか。
ビジョンケア社(英文)