オゾン利用の排水処理装置
静岡県畜産技術研究所は22日、オゾンを利用した高機能酪農排水処理装置の実証試験を富士宮市猪之頭の同研究所で始めた。
中小規模酪農家向けに従来の装置よりも
高効率・低コスト化を図り、産学官の共同研究で試作機を開発したもので、2011年度末までの実用化を目指している。
エネルギー効率が問題で…
乳脂肪を含んで白濁した酪農排水は、浄化槽で微生物処理するのが一般的だが、処理に時間がかかる。一方、強い酸化力で乳脂肪などを分解できるオゾンを使った従来の浄化技術も、装置が大型で多額の電気代がかかるなどの課題があり、普及には至っていない。
そこで県畜技研は、静岡大創造科学技術大学院、浜松市の排水処理機器メーカーなどと共同で、
都市近郊の中小規模酪農家でも導入できる、経済性と操作性を両立した処理技術の研究に着手した。
農林水産省の「
新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業」に採択され、研究費は全額助成されるという。
オゾンに圧力で電気代が従来比10%に
新たに開発した装置は、オゾンに圧力をかけて排水に直接溶かす仕組みで、効率良く短い時間で処理できるのが特徴。これにより、従来の10%程度の電気代で排水処理できるとともに、小型化にも成功したもの。
試験では、研究所敷地内の搾乳施設に試作機を設置し、装置の処理能力やランニングコスト、操作性、耐久性などを検証していくことになるが、その成果に期待がかかる。