目標達成の企業に援助は特化すべき!
仙台市を拠点に中小企業の製品開発支援などに取り組んでいる
東北大/堀切川一男教授(53)が20日、福島市内で講演し、研究段階から公的支援をする現状の産学官連携のあり方を批判、商品化などの目標を達成した企業に援助を特化すべきだなどと訴えた。
堀切川教授は「産学官連携によるものづくり成功の秘訣(ひけつ)」と題した講演で、成果目標の設定について、「高いハードルを設定して失敗し、あきらめるケースが多い」と指摘。商品化という「ミニマム(最低限)目標」を先に設け、製品のレベルを徐々に上げていくべきだと述べた。
そのうえで、連携スタート時に補助金を出す公的資金援助の在り方を批判、行政側はミニマム目標を達成した段階で補助金を出すべきだと強調した。さらに、開発当初から製品のネーミングにこだわるよう提言、「『錦の御旗』となり、チームワークがよくなって開発の成功と期間の短縮が期待できる」と経験からアドバイスした。
オリンピック用ボブスレーの低摩擦刃開発も…
講演は、福島市主催のイベント「
ふくしま産業交流フェア2010」の一環として行われた。「コラッセふくしま」の会場には、製造業者や大学関係者ら約50人が詰めかけ、メモをとったりしながら、熱心に耳を傾けていた。
堀切川教授は摩擦学(トライポロジー)が専門で、長野五輪で採用されたボブスレーの低摩擦ランナー(刃)を開発したことで知られる。地元企業の相談を受け、「滑りにくい靴」など数多くの商品を開発。2004年度から仙台市で産学官連携の推進役を担う「地域連携フェロー」を務めている。
<堀切川教授の専門と著書紹介>
〇研究テーマ
・植物系炭素材料の開発と応用
・ボブスレーの力学解析及びオリンピック用
ボブスレーランナーの開発
・摩耗理論の構築と体系化
〇主要著書
・MOT産学連携と技術経営(MOTテキストシリーズ)
・プロジェクト摩擦 tribologist
-「米ぬか」でつくった驚異の新素材
・木質系多孔質炭素材料ウッドセラミックス など