「事業仕分け」廃止判定からの復活
政府の「事業仕分け」で廃止判定された科学技術開発を目指す「知的クラスター創成事業」は17日、中川正春文部科学副大臣が来年度も継続する意向を示した。県内からは歓迎の声が上がったが、どの程度の事業費が確保されるのかがポイントになる。
産学官の連携事業で、県内では県や信州大、県経営者協会が中心。廃止判定には全国で反発の声が噴出し、村井仁知事は同日、中川氏に継続を強く求め、同氏も財務当局と折衝する考えを示した。中川氏は取材に「事業仕分けでいろいろな議論があったが整理が必要。来年度からの廃止は無理」と語った。
研究者からも歓迎の声
カーボンナノチューブの研究で知られる信州大工学部の遠藤守信教授は「日本の国際的競争力は落ちている。ようやく成果が出てきて『これから』という時にエンジンを切られそうになった」とほっとした様子。事業仕分けで「成果」を求めた意見にも理解を示し「これからも成果を出し、社会に貢献したい」と力を込めた。
地域の活性化につながるか?
県経営者協会の関安雄専務理事も「廃止されれば地域の競争力がつかない」と事業の重要性を指摘した。
県内では2007年度から5カ年計画で、ナノテクノロジーを使った新素材開発などに取り組んでいる。カーボンナノチューブなどの応用研究を進め、高機能のゴム素材や自動車部品の実用化を狙う。本年度事業費は7億円、11年度の事業化目標額は15億円。