主要評価項目および副次評価項目を達成せず
アステラス製薬株式会社は、2018年1月22日、造血幹細胞移植患者を対象としたサイトメガロウイルスDNAワクチン「ASP0113」第3相HELIOS試験の結果を発表した。
同ワクチンは、同社がVical社と共同で開発しているワクチン。同試験において「ASP0113」は、主要評価項目および副次評価項目を達成しなかったという。
免疫が機能していない人にはリスクが高いウイルス
サイトメガロウイルスは、免疫が十分に機能していない人にとっては再活性化のリスクが高いウイルス。重度の感染症を引き起こす可能性があり、死に至るケースもある。造血細胞移植患者・臓器移植患者・妊娠中に初回感染した母親から生まれた新生児にとっては、リスクが特に高い。米国では半数以上の成人が50歳までに感染するといわれており、発展途上国では米国以上に多くの割合の人が感染していると考えられている。
「ASP0113」は、造血細胞移植患者においてサイトメガロウイルス感染症と合併症を抑制すべく設計された、二価DNAワクチン。Vical社により開発された後、米国および欧州ではオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)指定を取得した。アステラス製薬は2011年7月、同ワクチンの全世界における開発・商業化に関する独占的ライセンス契約を Vical社と締結している。
造血幹細胞移植患者を対象として
HELIOS試験は、サイトメガロウイルス抗体陽性の造血幹細胞移植患者を対象として実施された。主要評価項目は、移植後1年間の全死亡数とサイトメガロウイルス感染症の発現率からなる複合評価項目。副次評価項目は、移植後1年間におけるサイトメガロウイルス血症初発までの期間。いずれの評価項目においても「ASP0113」は、有意差が示さなかったという。
なお「ASP0113」の安全性プロファイルに関しては、忍容性に問題がなく、ワクチン群で最も多くみられた有害事象は局所部位反応だったとしている。
(画像はアステラス製薬の公式ホームページより)
サイトメガロウイルスワクチンASP0113の第3相試験結果について - アステラス製薬株式会社
https://www.astellas.com/ja/news/10206