「高速掘進可能なTBMの機能」と「不良地山にも柔軟に対応するNATMの機能」を併せ持つ新たな掘削機
2017年10月11日、鹿島建設株式会社は、株式会社小松製作所と共同で、トンネル掘削の代表的な工法である、高速掘進が特長の「TBM」と、地質が複雑な地山に柔軟に対応できる「NATM」それぞれの優れた機能を兼ね備えた、「NATBM(ナトビーエム)掘削機」(以下、同掘削機)を開発したと発表した。
トンネル掘削の代表的施工方法であるTBMは、硬質で均質な地山において高速掘削が可能であるが、地質が複雑に変化する不良地山においては、地山の崩壊などで掘削不能となり、長期間にわたる回復作業が必要となることがある。
一方、NATMは、TBMに比べて掘削速度は劣るが、トンネル切羽を直接目視で確認しながら、地山の状態に合わせて、掘削したトンネルの崩壊を防止するために設置する鋼製支保工・吹付けコンクリート・ロックボルトを適切に選定することで、不良地山に対し柔軟に対応できる工法だ。
新たに開発された同掘削機は、地山の地質に対応してTBMモードとNATMモードを柔軟に切り替える方式で、工期を短縮してコストを抑え、安全に施工を進めることが可能となる。
同掘削機は、新潟県糸魚川市・黒部川電力新姫川第六発電所建設工事(II工区、工期2017年7月~2022年10月)における、導水路トンネルの施工に適用する予定だ。
NATBM掘削機の概要
同掘削機は、硬質な地山ではTBMモードで高速掘削を行いながら、前方探査により、不良地山の出現を監視する。
前方探査で不良地山に到達したことを把握した際には、TBM本体の伸縮可能なテレスコピック構造を活用してマシンを後退させ、NATMモードで必要な前方の掘削作業スペースを確保する。
その後、TBMのカッターヘッドの中央を開口し、内部に装備したバケット式掘削機を出してNATMモードへ切り替えて掘削するとともに、速やかに支保工を構築して、不良地山の緩みや崩壊を防止する。
なお、TBMモードからNATMモードへの切り替えは、わずか1.5日で可能だ。
(画像はプレスリリースより)
鹿島 プレスリリース
https://www.kajima.co.jp/news/press/201710/11c1-j.htm