住まいの現在状態をプロフェッショナルが徹底診断!
近年、中古住宅市場における流通活性化促進の動き、リフォーム、リノベーションの普及などから、「建物診断」や「住宅診断(ホームインスペクション)」といった言葉を耳にすることが増えてきています。
こうしたサービスではどのようなことが行われ、どういったメリットを享受することができるのでしょうか。今回はこの、まだ詳細について、一般的に知られているとは言い難い「建物診断」についてご紹介します。
建物診断は、住宅検査士や住宅診断士、その他設計・施工に詳しい建築士などの専門家が、その建物のコンディションについて第三者的立場から公平に調査を行い、劣化状況や欠陥の有無、補修すべき箇所・時期などについて診断を行うものです。人間に当てはめれば、健康診断のようなものですね。
この診断結果で提示されるアドバイスをもとに、必要な補修・リフォームを行うことで、安心して永く住まうことのできる建物とすることが可能になります。そのほか実施メリットとして、中古住宅を購入・売却する場合に、双方が納得し、現況を根拠あるかたちで把握してスムーズにやりとりが行えるようになること、補修費の目安がつきやすく将来的なメンテナンス計画も立てやすくなることなどが挙げられます。
診断結果として報告書を得ることができるため、リフォームや工事の依頼を行うシーンでもスムーズですし、物件取引時や賃貸、工事など建物の契約関連に伴うトラブルを未然に防止することもできます。また将来売却を考えているならば、報告書を住宅履歴として用いることもできます。
具体的にはどんなことをするの?
建物診断は、検査専門会社や建築設計事務所、不動産系列事業者などから提供されており、目視による基本性能診断が基本となりますが、詳細な内容は依頼するところによって異なります。また、対象となる建物の種類や構造などでも異なり、実施内容によって費用も違ってきますから、事前に依頼する目的を明確にし、その検査を一括して行ってくれる、信頼と実績のある業者を選択するのがよいでしょう。
ほぼ共通する1次診断としての建物診断では、まず外回りの状態として、屋外に面する基礎部分のひび割れや水染みなどの有無、外壁・外壁タイルにおけるひび割れや浮き、剥がれ、ずれ、腐食、変退色、顕著な汚れの有無、屋根の変形やひび割れ、剥がれ、腐食、変退色の有無、軒裏や雨樋の破損部分の有無、配管配線貫通部や面格子、窓手摺など外部金物の錆や腐食、ぐらつきのチェック、バルコニーの支持部材腐食や欠損、破断の有無、外部階段がある場合はその傷み具合などが診断対象になります。屋上やルーフバルコニーなどの防水システムにおける劣化状況もチェック対象となるでしょう。
室内状態では、小屋組や柱・梁、床組といった構造耐力上の主要部分における劣化状況や接合不良の有無、床、壁、柱などでの安全性に問題がある可能性を示す傾斜の有無、剥がれや腐食・かび、顕著なきしみの有無、サッシやドア、シャッター、雨戸などにおける動作不良の有無を確認します。
また、生活上支障がないかどうか給水管・給湯管、配水管といった給排水設備に詰まりや水漏れ、発錆による赤水が生じていないか、換気ダクトの脱落や接続不良で換気不良が起きていないかといった部分のチェックも行われます。
ほかにより精密な機器を用いた診断や、床下に入って行う詳細調査などを実施するケースもありますが、これらを依頼すると、オプション費用がかかる場合が多いので、よく説明を受け必要に応じて選択するようにしましょう。
おおむねこれらの調査と、建物の居住者や管理者へ漏水や雨漏りなどに関するヒアリング調査などを実施し、最終的に検査結果報告書として現況を分析した結果をまとめ、依頼者に手渡して診断完了という流れになります。
専門知識を有するプロに公正中立な立場から診断・評価してもらうことで、現況を適正に分かりやすく把握することができ、必要な補修工事などが過少・過剰のいずれに傾くこともなく、効果的に実施可能となり、安全に使用することができるようになる建物診断。まだ知名度は低い面もありますが、その内容を知って信頼できる業者を選び、大いに活用していくことをおすすめします。
(画像は写真素材 足成より)