【承認不要】注目の「安心R住宅」って何？

中古住宅をうまく活用し、空き家問題などの社会問題にも対応しながら、人々の住環境をより豊かに、充実させていこうという取り組みは、近年、国をあげた重点的なものとして進められています。

中古住宅は、比較的利便性の高い立地環境に、リーズナブルな価格で住まいを取得しやすく、昨今の進展めざましい技術を用いることで、リノベーションやリフォームによって新築と遜色のない空間と設備、より自らの理想に近い住空間を実現可能となっているなど、多くのメリットがあります。既にそこにある建物を、実際に見て、周辺環境とともにチェックし、選ぶことができる安心感を長所と感じる方もあるでしょう。

しかし一方で、どうしても新築物件に比べ、品質が落ちるのではないか、古い・汚いイメージがある、納得のいく住まいとしてのスペックがあるか素人では分かりづらく不安といった懸念を抱かれることも少なくありません。思わぬトラブルにならないか、損をしないかなど、大きな買い物ですから、慎重になるのも当然のことです。

ですがこうしたマイナスイメージが広がっていると、中古物件の市場流通が妨げられ、社会的にも大きな問題となるほか、一般消費者にとっても、本来は存在した、安く理想の住空間を手にできる機会や選択肢を喪失してしまうことにつながるため、誰にとっても望ましくない事態が固着化してしまいます。

そこで、国が一定の基準を満たした中古住宅を認定し、安心できる高品質な、住みたい・買いたいと思える既存住宅を、充実した情報の開示環境で提供できる仕組みを作ろうと設けられたのが「安心R住宅」の制度です。ちなみに「R」は、Reuse（再利用）、Reform（改良）、Renovation（改装）に共通する頭文字をとったものとされています。

「安心R住宅」は、これまで一般消費者の中にあった中古住宅に対する主な3つのマイナスイメージを払拭し、安心してマイホームとして購入できるようにするため、求められる基礎的な要件を満たした物件に付与されます。具体的にみていきましょう。

まず、品質に対する不安を払拭するため、十分な耐震性を有することを要件とします。また建物状況調査（インスペクション）を実施し、構造上の不具合や雨漏りが認められず、購入しようという人が求めれば、既存住宅売買瑕疵保険を付けられる用意がなされていることも条件です。これにより、住まいとしての基礎的な品質を確保します。

次に“古い・汚い”といったイメージの払拭のため、事業者団体ごとにリフォームの基準を定め、それに合致したリフォームを実施、中古住宅でも“きれい”という状態を求めます。またリフォームを実施していない場合は、今後のリフォームにおける参考価格や完成イメージなどを含めたプランの情報提供を行うこととされています。

そして外装や主な内装、キッチン、浴室、トイレに洗面所といった水廻りなど現況が明確に確認できる写真などの提示を必須とし、実施済みのリフォーム内容などを容易にチェックできるものともしています。

3つ目として“分かりにくさ”を解消すべく、詳細情報の明確な提示も条件とされました。新築時の適法性や設計図書、認定、住宅性能評価などに関する基礎情報や、過去の維持管理計画、点検・診断履歴、修繕やリフォーム・改修に関する情報、構造上の不具合や雨漏りに対する保険・保証、その他リフォーム工事などへの保険・保証に関すること、断熱性能など省エネ設備・機能に関する情報、共同住宅の場合、管理規約や修繕積立金の状況、大規模修繕計画および修繕履歴に関する情報について、明示することが必要とされています。

これらの点については、広告時点で情報の有無・不明を開示するほか、求めれば詳細情報が提供できるようになっていなくてはなりません。

もちろん「安心R住宅」でなければ、安心できない、優良な品質を備えた中古住宅でないというわけではありません。あくまでもひとつの目安となる基準ですが、このブランディング制度があることで、中古住宅を住まい購入の選択肢に安心して含めやすくなるでしょう。

どういう点をあらかじめ確認しておくべきなのか、どのような情報を収集すべきなのかを知るきっかけにもなります。ぜひ制度を賢く使って、理想の住まい探しを進めてください。

（画像は写真素材 足成より）