介護離職調査を実施
医療の発展や技術の進歩により、日本の平均寿命は年々延びている。伴い、高齢者と介護人口は増加の一途を辿っている。介護を行う上で、現在の生活環境をどのように維持するのかは大きな問題である。特に、仕事については誰もが頭を抱える問題だ。株式会社インテージリサーチは、そういった仕事と介護に関する人々の現状を調べるため「介護離職に関するアンケート」を実施し、先ほど、その結果を同社のホームページで公表した。調査は2017年3月30日、31日の2日でインターネットを通して実施され、全国の35歳から59歳までの会社員・公務員(正規・非正規)の男女2万人を対象とした。
5年後には仕事と介護の両立は避けられない
介護に携わる環境についての問いに対して、「現在、家族の介護を担っている」、「近い将来(1-2 年くらい)には担っている可能性がある」、「将来的(3-5年くらい)には、家族の介護を担っている可能性がある」と回答した人は全体で24.4%となった。調査結果から、5年後には、25%近くの人が仕事と介護の両立が避けられない状況であることが伺える。尚、この問いに対しての回答には男女差はあまり見受けられなかった。
孤独な介護との戦いも
次いで、既に介護に携わっている人々を対象に、「あなたには介護や家事を支援してくれる人はいますか?」という問いを行った結果、8割以上が「家族」と答えた。うち6割弱が同居している家族に、3割が別居している家族に支えられている。「公的な介護サービス」に支えられているとの回答は4割強で、誰かしらの支えを得ながら日々介護と向き合っている様子だ。一方で、「支援は何もない」と約1割が回答しており、孤独に介護と向き合わなければならない状況の人も決して少なくない。
仕事を辞めざるを得ない
既に介護に携わっている人々からは、「要介護者の状態がこれ以上悪くならなければ、このまま続けていけると思う」、「介護保険制度や民間のサービス等をうまく使うことができれば、このまま続けていけると思う」といった回答が9割を占める一方で、「肉体的・精神的に疲れがたまり、このまま両立を続ける自信はない(仕事を辞めることを考えている)」と支援を受けられていない人の1割が回答している。支援が「ある」と「ない」とでは、仕事を継続するといった選択肢自体が消えてしまうといった負のスパイラルをも生み出す結果となっている。
介護と仕事を両立させるためには
多くの人が介護と仕事をうまく両立させたいと思っている。両立させるためには、「要介護者が施設等に入所し、自宅で介護をする必要がなければ」できると考えている人が多く、「公的介護保険サービスが十分に受けられれば」両立が可能、と自身や家族だけではなく第3者の手を借りることが両立の鍵となる様だ。また、「介護から離れて気分転換したりやからだを休ませるなど、自分自身の心とからだをケアできれば続けられると思う」といった回答にも票が多かった点から、どのように自分自身と向き合い、からだや心のリフレッシュケアをしていくのかも重要な要素となる。他にも職場の理解や制度が、両立への手助けとなる様子だ。
(画像はプレスリリースより)
株式会社インテージリサーチ 介護離職に関するアンケート
http://www.intage-research.co.jp/news/20170714.pdf