亜酸化銅(Cu2O)太陽電池で初の透明化に成功
株式会社東芝は1月21日、異なる性質の太陽電池(セル)を重ね合わせ、太陽光の吸収波長域を拡大することで全体の発電効率を上げるタンデム型太陽電池の実現に向け、世界で初めて亜酸化銅(Cu2O)を用いたセルの透明化に成功したと発表した。
政府の第5次エネルギー基本計画(昨年7月閣議決定)では、太陽光発電が2030年の主力電源の一つとして定められている。
タンデム型太陽電池は、太陽光が直接入射する上層の透明トップセルと下層のボトムセルで構成され、限られた設置面積を有効利用して必要電力を確保することから結晶Si単体の太陽電池を越える高い発電効率が期待でき、今後この必要性が増すと見込まれている。
タンデム型としては現在、ガリウムヒ素半導体などを用いた太陽電池が製品化され、市販の結晶Si太陽電池より1.5~2倍高い30%台の発電効率が報告されているが、結晶Si単体の太陽電池より製造コストが数百倍~数千倍高いことが課題だった。
世界初となる透過型Cu2O太陽電池を開発
このため同社は、低コストなタンデム太陽電池のトップセル用に、世界初となる透過型Cu2O太陽電池を開発した。
開発した太陽電池は、短波長光を吸収して発電し長波長光を約80%透過できるもので、Cu2O自体は地球上に豊富に存在することから低コスト化が期待でき、素材として高効率な発電が期待できるほか、結晶Siと異なる波長域の光を吸収し発電するため、結晶Siの発電を殆ど阻害しない特徴があるという。
透過型Cu2O太陽電池をトップセルに用い、現在広く普及している結晶シリコン(Si)太陽電池をボトムセルに用いることで、長波長光で高効率に発電し、全体として短波長から長波長まで幅広い波長の光をエネルギーに変換することができるとのこと。
(画像はプレスリリースより)
株式会社東芝 プレスリリース
http://www.toshiba.co.jp/rdc/detail/1901_01.htm