T-817MAの試験開始
脳卒中患者が回復期に行うリハビリテーションにおいて、より効果を促進する新薬の開発に成功した。新薬は「T-817MA」(一般名:edonerpic maleate)と命名され、臨床第Ⅱ相試験が開始される。
この試験は、片側上肢麻痺の脳卒中患者(くも膜下出血を除く)を対象に、本薬の有効性と安全性の確認をしていくことになる。なお、有効性の確認としては運動機能、画像検査などの指標を基に、リハビリテーション効果の程度を確認していく。
脳卒中回復における本薬の効果
脳卒中からの回復する段階で、運動機能の正常化にリハビリテーションなどに代表される外部からの刺激に脳が応答することが知られており、この時脳内の受容体の一つであるAMPA受容体がシナプスの膜上で増加し、可塑性を起こすメカニズムの一つであると言われている。
本薬は、この外部刺激による可塑性に対して、すでに脳に損傷があるマウスや猿でのモデルにおいて運動機能の回復が促進されることが明らかになっている。
現在の治療方法
脳卒中は、日本でも発症率が高く年間約30万人と言われているが、自覚症状が殆ど無く発症すると突然手や腕が麻痺したり、言葉がうまく話せない、意識が混濁するなどの症状が起こる。
早期で発見され処置が迅速に行われた場合でも、何らかの運動性麻痺が残り、それまでの生活が出来なくなってしまう。
有効な回復方法として、一般的にはトレーニングとリハビリテーションが行われているが、長期間にわたり行われ苦痛も伴う事から、本薬により効果が促進されることは朗報であると言える。
(画像はプレスリリースより)
富士FILM HP
http://fftc.fujifilm.co.jp/information/detail/190606.html