トランプ氏方針に対抗
中国当局は11月13日、中国共産党の機関誌の国際版である「環球時報(Global Times)」に、「トランプ氏は中国に対して貿易戦争を仕掛けるのか?」というタイトルの記事を掲載した。トランプ氏が掲げていた、中国からの輸入品に45%の関税をかけるという経済政策に対しての牽制と見られている。
トランプ氏は大統領選挙戦中、「中国が人民元の対ドル市場を不正に低水準に保っている」と発言していた。また公約として、中国を為替操作国として認定し、対抗措置として45%の関税をかけると主張していた。
記事の概要
記事では、「もし経済政策が実行されれば、中国は報復的アプローチを取る。飛行機の発注は、アメリカのボーイングからヨーロッパのエアバスに置き換え、アメリカの自動車とiPhoneの売上を抑制し、大豆とトウモロコシの輸入も停止する」と記されている。
その一方、トランプ氏について、「賢明なビジネスマンの経歴を持つトランプ氏は、そこまで認識が甘く、愚かな人物ではない」とも述べている。
Appleと中国
Appleは今年第3四半期、中国で同社売上の21%に相当する89億ドル(約9,600億円)を売り上げがあった。また中国国内のシェアを見ても、2015年末までの中国国内では1億3,100万台ものiPhoneが使われていると試算されており、トップレベルを維持している。
他の先進国ではスマホの売上が伸び悩んでおり、景気が減速したとはいえ、まだ中国はAppleにとって非常に重要な市場である事実に変わりはない。
先行きは不透明
記事では、トランプ氏が言う「45%の関税」というのは選挙キャンペーン向けの出まかせなのではないか、との見方も挙げている。
また政策が実行に移されても、他の国から安価な製品が入ってくるため、自国経済への効果は薄いと考えられている。実際、オバマ政権が、2009年からの3年間、中国製タイヤに30%の関税を課すというセーフガードを発動した際には、他国からの輸入が増大したため、貿易収支的にはマイナスになっている。
その一方で、トランプ氏はCBSの番組「60 Minutes」で、外交問題について、名指しで中国を挙げてはいないものの、アメリカを食い物にする国に対しては、敵対的な態度を崩さないことをほのめかしている。
彼の公約が実行されるかどうかは、依然不透明なままだが、実行されれば中国経済に大きな影響を与えるのは間違いない。今後トランプ氏の中国に対する経済政策に注目が集まる。
Global Times
http://www.globaltimes.cn/content/1017696.shtml