「T-Sオイルダンパー」への評価
大成建設株式会社は、【平成29年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞(開発部門)】を受賞したことを4月20日(木)に発表した。
免震建物用パッシブ切替型オイルダンパー「T-Sオイルダンパー」(2014年度開発・実用化)が評価されたものだ。
揺れの大きさに応じて自動的に抵抗力が切り替わる
大成建設では2014年度に『切替型オイルダンパー』を開発した。これは、従来の半分程度の小さな免震クリアランスでも最適な免震効果を発揮するというものだ。
免震クリアランスとは、免震建物の地震時の可動範囲として、建物周囲に確保しておくスペースのこと。
免震クリアランスの確保の困難な地域では、免震層のダンパー数を増やして抵抗力を高め、免震層の変位を小さく抑える必要がある。しかしそのことで、居住性が損なわれることが課題となっていた。
その課題解決のため、揺れの大きさに応じて自動的に抵抗力が小さな低減衰モードから、抵抗力が大きな高減衰モードに切り替わる『切替型オイルダンパー』は開発された。
これまで実現が困難であった密集市街地での免震建物の建築が可能となったのである。
巨大地震に対応、免震建物への適用範囲を拡大
また、2016年には「南海トラフ沿いの海溝型巨大地震の想定震源域見直し」にともない、巨大地震に対応するため、免震建物への適用範囲を拡大する対応もなされた。
これにより、さまざまな立地・規模の免震建物の、中小地震・大地震に対する免震性能の確保と、それを超える巨大地震や長周期地震動に対する安全性向上の両立が可能となった。
国土交通省は「超高層建築物等における南海トラフ沿いの巨大地震による長周期地震動への対策」を強化している。
そのことを踏まえ、大成建設では免震建物の安全性向上を目的に、あらゆる新築・既存免震建物を対象に、本技術の提案・導入を積極的に行っていくとしている。
(画像はプレスリリースより)
大成建設株式会社
http://www.taisei.co.jp/index.html