災害事象の事前体験を可能とする統合VRシステムを開発
株式会社竹中工務店は3月22日、建物のBIMデータを活用して、地震・火災・津波などの災害予測や人の避難行動の個別解析結果を統合し、VR(Virtual Reality、仮想現実)による事前体験を可能とする災害事象の統合VRシステム「maⅩim /マキシム(登録商標出願済み)」を開発した、と発表した。
BIMとは、Building Information Modelingの略称で、コンピューター上に作成した3次元の建物のデジタルモデルに、属性データ(コスト、仕上げ、管理情報)を追加した建築物のデータベースを、建築の設計、施工から維持管理まであらゆる工程で情報活用を行うものである。
複数の災害と避難行動を統合し、VRで可視化
従来の災害や避難の予測解析は、事象毎に個別に可視化していた。
「maXim」は、建物のBIMデータを活用して、個別の災害事象を解析し、その結果を3次元モデル内で時間経過に沿って統合化の上、VRデバイスで可視化するシステムである。
最初に、BIMから必要な建物情報を抽出し、災害現象や人の避難行動を解析する。次に、解析結果と建物の3次元モデルをインポートし、最適化を施したのち、全ての情報を単一の空間と時系列に統合する。
さらに、建設計画地周辺の都市モデルを追加し、その地域の潜在的な危険情報に基づく災害シナリオの作成後、VR可視化する。
maXimは、今まで個別に解析されていた複雑な災害事象をVR可視化により、誰もが容易に、事前に同一の映像内で確認することを可能とした。
施設の安全性やBCPの向上に貢献
maXimを活用することにより、災害状況や人の避難行動の全貌をリアルに把握できるため、防災計画の検討や説明が容易になり、施設の安全性やBCP(事業継続計画)の向上に貢献するという。
竹中工務店は、今後単体の建物だけでなく、自治体や行政のまちづくりや都市計画における災害対策への応用も検討する計画である。
(画像はプレスリリースより)
株式会社竹中工務店のニュースリリース
http://www.takenaka.co.jp/news/2017/03/04/index.html