重度のうつ病治療にて認知行動療法の有効性が立証される

平成29年1月27日、重度のうつ病の治療において認知行動療法が軽度の場合と同程度効果が見られたと、京都大学が発表した。

なお、研究を行ったのは古川壽亮医学研究科教授及び田中司朗医学研究科准教授、またErica S. Weitzアムステルダム大学博士課程学生らにより構成される研究グループである。また、当該研究結果は英国王立精神医学会発行学術誌「The British journal of Psychiatry」にて、同年1月19日に載せられた。

これまで、その治療法の有効性について主にプラセボ群との比較により検証されており、とりわけその対象を抗うつ薬等の投薬に置かれていた。また、このプラセボ群との比較とは効能のある薬と有効成分の含まれていない、いわゆる偽薬を用いた群との比較による検証法である。

だが、もう1つの代表的な治療法である認知行動療法については、こうした研究はなされてこなかった。

そこで今回京都大学研究グループは、1989年から2006年に行われている5つの研究を比較する事で、うつ病の重症度における認知行動療法の有効性について検証したのだ。

それによると、うつ病の進行程度が軽度または重度のどちらであっても、認知行動療法の効果の程度に差異は見られなかった。

さらに、薬物療法と認知行動療法それぞれに見られる効果の間でも、従来考えられていたほどの大きな開きはなかった。

こうした事から今後、うつ病の進行程度に関わらず認知行動療法も、治療法の候補としてあげられ得ると言えるのだ。

（画像は京都大学より）




認知行動療法、深刻なうつにも効果－重いうつにも投薬以外の治療選択肢を示唆－
http://www.kyoto-u.ac.jp/