長期にわたる低迷
Gettyは6月6日、Financial Timesでアメリカ労働市場の起死回生策を記事にした。
今年の5月、アメリカの失業率は2001年以来、最低の4.3%となった。失業者数の減少とともに、労働力人口も減っている。
かつては、「失業率」と「インフレ率」の相関関係だけでアメリカ経済の趨勢を判断できたものだ。
21世紀になり、アメリカの労働力人口が減少し始めている。現在は「失業率」と「インフレ率」に加えて、「労働市場参入率」の3つのパラメーターで、労働市場を考察する必要がある。
労働力人口の減少は、高齢化だけでは説明できない。グローバリゼーションや技術革新により、重工業で顕著な低スキル業務など多くが奪われた。
リーマンショック等の経済危機で失業した中高齢者が、就職活動を始めても、工場監督者だった失業者が、バーガーを返すだけの単純な仕事しかないことを悟り、引退していった。
起死回生策
イギリス等他の先進国において、労働市場参入率が減少していないことから、低迷にはアメリカ特有の理由があることがわかる。
おそらくアメリカのセイフティネット(失業給付等)、わずかな育児休業給付等に甘んじ、低賃金であえて働く動機をなくしているのだ。
フルタイム雇用の減少や、低賃金政策に所々の葛藤や不満があるであろうが、広範な刺激策が必要だ。
インフラ投資、減税、金融政策の導入が重要だ。中高齢者の労働市場参入を歓迎し、手厚すぎるセイフティネットを削減する。
医療の世代的改革よりも、改革を段階的なものにすることだ。
これら単独では大きな効果はないけれども、アメリカの労働市場の問題は、一つ一つ実施を積み重ねることで克服できるだろう。
(画像は写真ACより)
FINANCIAL TIMES
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