三次元構造の解明に成功
東京大学大学院薬学系研究科及び医科学研究所の教授らから構成される研究グループは、Toll様受容体8が一本鎖RNAを認識する現象について、詳細な三次元構造を解明したと2015年1月20日に発表した。
今回の発表の概要とは
様々な病気を引き起こすウイルスや細菌が体内に進入した場合に、自然免疫応答を引き起こすタンパク質がToll様受容体8。このToll様受容体に関しては、病原体に由来する一本鎖RNAを感知することは知られていたものの、これがどのように一本鎖RNAを認識しているかについては、解明されていなかった。
この研究グループは、Toll様受容体8と一本鎖RNAが結合した複合体について、詳細な三次元構造を明らかにした。このことから、Toll様受容体8が一本鎖RNAのみを認識するのではなく、一本鎖RNAと、一本鎖RNAが分解されることによって発生するウリジンという低分子の両方を認識していること、そして両者が協調的に作用することによって活性化されるということも発見した。
今回の発見から、構造的にも科学的に大きく性質の異なる物質によってToll様受容体8が活性化されるという問いに対する回答を提供する可能性があること、そしてToll様受容体8を標的とする抗がん剤、そして自己免疫疾患治療薬などの開発につながることが期待される。
(画像はプレスリリースより)

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