本治療薬開発中止の概要
武田薬品工業は、開発中であった2型糖尿病治療薬につき、自主的に開発を中止することを決定した旨、2013年12月27日に発表しました。この治療薬はfasiglifam(開発コード:TAK-875)といい、肝臓に対する安全性の懸念から今回の中止に踏み切ったということです。この件で、同社の2014年3月期の連結業績予想に変更はないとのことです。
武田薬品工業では、fasiglifamの治験にあたって、安全性を確保するため、独立した3つの専門化委員会が安全性を監視することとなっています。一つ目は、独立肝安全性評価委員会で、5人の肝臓学者が肝酵素値のデータを定期的に評価することで、肝臓に影響が見られる症例の判定を行う委員会です。この委員会は盲検下で評価します。
二つ目は、同治療薬のグローバルの臨床試験データを非盲検下でレビューする、独立データモニタリング委員会です。この委員会には、心臓学・肝臓学の臨床専門家だけではなく、内分泌学・統計学の専門家が所属し、治験に参加している患者の安全性を継続的にモニターし、必要に応じて推奨案を提示することもします。
最後が、独立エグゼクティブ委員会で、同治療薬の心血管イベントに対するアウトカム試験に対する考察を行い、同社に提供する役目をになっています。
開発中止にいたった理由
これらの3つの委員会と連携し、全ての臨床結果から得られた様々なデータを慎重に検討した結果、同社は同治療薬の投与により潜在するリスクの方が、この治療薬の投与によってもたらされる患者の利益よりも大きいという結論に達したため、今回の開発中止にいたったわけです。
この決定に対しては、各国の治験担当医及び規制当局との連携を密にし、各国・地域の規則に則って、最新の情報を提供するとのことです。

武田薬品工業 プレスリリース
http://www.takeda.co.jp/