理研らによる共同研究グループが発見
独立行政法人理化学研究所(以下、理研)は7月28日、後縦靭帯骨化症(OPLL)の発症に関係する6つのゲノム領域を発見したと発表した。
画像はプレスリリースより
研究に関しての詳細は7月27日、英科学誌『Nature Genetics』オンライン版に掲載された。
全ゲノム相関解析を実施
前縦靭帯や後縦靭帯、黄色靭帯など背骨を支えている靭帯が骨に変わってしまう難病である脊柱靭帯骨化症のなかでも最も頻繁にみられ、治療が難しいとされる後縦靭帯骨化症。
共同研究チームは、日本人の後縦靭帯骨化症患者1,660人からゲノム研究に必要な臨床情報とDNAを収集。それをもとに、OPLLに関しての全ゲノム相関解析(GWAS)が世界で初めて行われた。
研究では、文部科学省「オーダーメイド医療の実現プログラム」などで収集したOPLL患者1,660人のうち1,112人と非患者6,810人、計7,922人のゲノム情報を使い、ヒトのゲノム全体に分布する約60万個の一塩基多型(SNP)を調べ、OPLLの発症と相関するSNPを探索した。
次に、残りのOPLL患者548人と別の非患者6,469人、計7,017人を対象に追試を行い、得られた相関の再現性を確認。その結果、6つのゲノム領域のSNPがOPLLの発症と深く相関していることが明らかになった。
5つの遺伝子を同定
発見された6つのゲノム領域に存在する遺伝子のなかには、骨化に関与することが知られている遺伝子もあったが、大部分は機能が全く不明な遺伝子であったという。骨関節疾患研究チームらが、遺伝子の発現解析を行ったところ、骨化に伴って発現が変化する5つの遺伝子が同定された。
理研は、OPLLの病態解明につなげるためにも、今回発見された5つの遺伝子の靭帯骨化に関連する機能を詳しく調査し、個人の病態を予測する方法や遺伝要因をターゲットにしたOPLLの治療法の開発などにつなげていきたいとしている。

独立行政法人理化学研究所 プレスリリース
http://www.riken.jp/pr/press/2014/20140728_1/A genome-wide association study identifies susceptibility loci for ossification of the posterior longitudinal ligament of the spine
http://www.nature.com/ng/journal/full/ng.3045.html