札幌医大とニプロの提携
札幌医科大学とニプロ株式会社は、4月28日、「脳梗塞及び脊髄損傷の治療に用いる自己骨髄間葉系幹細胞」の特許について、再生医療医薬品の製造販売を行うことを目的に、ライセンス契約を締結したと発表した。
今回のライセンス契約は、札幌医科大学における独自の研究成果をもとに、純国産の細胞医薬品として開発された、薬事法に基づくものとなる。医療機器・医薬品分野における総合的な技術力を有するニプロが、再生医療分野では国内初となる細胞医薬品の事業を手がけ、医療現場での一般化をめざすことは画期的である。
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脳梗塞、脊髄損傷の患者に治験を実施
再生治療とは、患者自身の骨髄に含まれる間葉系幹細胞を体外で約1万倍に増殖させ、その細胞を患者の静脈から点滴の要領で投与する治療。患者自身の細胞を用いるため、副作用が起こりにくく、外科的手術を必要としない。
間葉系幹細胞は、神経や血管などに分化する能力を持っており、この治療では、自己の間葉系幹細胞が、損傷した脳神経や血管、中枢神経を修復することで、脳梗塞や脊髄損傷の後遺障害にともなう神経症候や機能障害の改善、および要介護度の改善などが期待できる。
この治療法は世界でも前例がなく、札幌医大は現在実用化に向けて、国内初の臨床試験(治験)を実施中。神経再生医療科において、2013年から脳梗塞に対する細胞医薬品の医師主導治験が第3相の段階に入っている。また脊髄損傷に対しては、第2相の医師主導治験を2013年12月より開始。
これらの研究成果が、保険診療への展開も視野に入れた細胞医薬品の実現につながり、後遺症に苦しむ患者がより多く救われることを期待したい。(白井蓮)

札幌医科大学 プレスリリース
http://web.sapmed.ac.jp/03bqho000024oa8a.pdfニプロ株式会社 プレスリリース
http://www.nipro.co.jp/ja/news/140428.pdf