肺動脈性高血圧症治療薬が肥大型心筋症治療薬となる可能性
慶應義塾大学医学部は11月12日、肥大型心筋症iPS細胞の作製、および病気を悪化させる因子の同定に成功したことを発表した。
画像はプレスリリースより
湯浅慎介専任講師、福田恵一教授、博士課程の田中敦史氏らの研究グループによる成果で、「Journal of American Heart Association」オンライン版で公開された。
肺動脈性高血圧症の治療に用いられるエンドセリン受容体拮抗薬が、肥大型心筋症に有効な特異的治療薬となることが期待される。
安全性確認されており、すぐに臨床応用が可能に
研究グループは3名の肥大型心筋症の患者から作製したiPS細胞からこの病気の患者由来の心筋細胞に筋原線維の配列の乱れが存在することを見出し、エンドセリン-1が病気を悪化させる因子であることを発見した。
エンドセリン受容体拮抗薬を投与すると心筋細胞における筋原繊維の配列の乱れが改善され、収縮の乱れにも改善がみられた。
エンドセリン受容体拮抗薬はすでに安全性が確認されている薬剤であることから、すぐに臨床応用することができる。
プレスリリースでは
今後は、これらの結果は臨床研究等を介して、患者に治療薬として届けていくことを目標として、着実に研究を発展させる所存です。(慶應義塾大学医学部プレスリリースより引用)
と述べられている。(小林 周)

慶應義塾大学医学部 プレスリリース
http://www.keio.ac.jp/ja/press_release/2014/osa3qr000000dw1p