ドイツ与野党一致のもと擁立
メルケル首相は、19日夜、ドイツキリスト教社会同盟(CSU)、自由民主党(FDP)、社会民主党(SPD)、と緑の党(Grünen)の党首とともに記者会見し、汚職疑惑で辞任したヴルフ前大統領の後任として、ヨアヒム・ガウク氏を次期大統領に擁立する方針を発表した。
前回の2010年の大統領選で、ドイツ国民の間では理想の大統領候補だったが、ヴルフ前大統領に敗れた経緯がある。ガウク氏は、旧東ドイツの都市ロストックの牧師で、1990年の東西ドイツ統一後、旧東独秘密警察(シュタージ)の文書庁長官を務めた。
ガウク氏は、誠実で非の打ちどころのない人物として知られている。けんかっ早いところもあるようだが……。
Image:
Joachim Gauck / Das blaue Sofa激しい権力争い
19日午後の段階で、大統領候補者は3人だった。福音主義神学者のヴォルフガング・フーバー氏、元環境相のクラウス・テプファー氏と人権主義者でもあるヨアヒム・ガウク氏である。
状況は明らかで、自由民主党(FDP)は、フーバー氏とテプファー氏に難色を示し、キリスト教民主同盟(CDU)は、ガウク氏に難色を示した。
社会民主党(SPD)は、18日にすでにガウク氏擁立の立場を示していた。その後、野党側が、妥協案としてテプファー氏を推薦。これに対し、自由民主党(FDP)は激しく抵抗。結局、最終的に、メルケル首相は譲歩したのである。
〈ガウク氏擁立の記者会見〉
各党党首の言葉
メルケル首相は、ガウク氏に対し、
多くの相違にもかかわらず、自由へのあこがれが私たちを結びつけている。私は、氏がこの時代と将来の課題にとって重要な刺激を与えることを確信している。
社会民主党(SPD)のガブリエル党首は、
終わりよければ、すべてよし。ガウク氏は、国民と民主主義機関と政党の間にある溝を埋めてくれる役目を担ってくれるだろう。
自由民主党(FDP)のレスラー党首は、
ガウク氏は、われわれを再び民主主義に熱狂させてくれるだろう。
緑の党(Grünen)のロート党首は、
ガウク氏は、民主主義に再び輝きをもたらすことができる人物である。彼の言葉には美しい音色がある。
これらの称賛に対し、ガウク氏は、
私は、今聞いた称賛に値する人物になれるよう努力する。人々がただの傍観者や批判的な同伴者にならず、責任を受け入れる姿勢をもてるきっかけになれるよう努力する。
と、抱負を語った。
シュピーゲル誌(Spiegel Online)
http://www.spiegel.de/politik/deutschland/0,1518,816285,00.htmlヴェルト誌(Welt Online)
http://www.welt.de/debatte/article13876649/Gauck-wird-ein-starker-Praesident-neben-Merkel-sein.html