米ニュースが「除染」を取材
米CBSニュースが報道した福島県南相馬市の除染風景がネット上で注目を集めている。除染で発生した高レベルの放射性汚染物を校庭に埋める、という非常識な手法が伝えられているためだ。
もどるよう子どもと親を説得したい
ニュース映像は、CBSのルーシー・クラフト記者が南相馬市の除染風景を取材したもの。
報道された除染作業では、高レベルに汚染された木の枝や土などを大型のフレコンパックに詰め込み、小学校の校庭に埋めて処理している。ほかに処理方法がないためだという。
その上で日本原子力機構の職員は、「放射線量を下げることで、子どもとその親に、できるだけ早く戻るよう説得したい」と語っている。
除染を急ぐのは無意味
除染の効果と費用を比較すれば、当該地域から住民を全員避難させ、手厚い賠償を行う方が、効率的であり国民の健康を守ることにもなる。
どうしてもふるさとを失いたくない、という思いに応えるべく除染を行うのだとしても、今行う意味はない。
被曝から2年間で、約40%の放射線量が自然減衰する。それ以降に除染を行えば、作業員の危険性も低く、除染による効果も大きい。
政府が拙速をもってことに当たろうとしているのは、除染が今や、巨額の資金が落ちるニュービジネスと化したためである。
校庭に汚染物を埋めた学校に戻ろうと思う親子は少ない。米CBSの記者も「もどるよう説得する」という日本原子力機構の発言に対し、「難しい説得になる」と予測する。
それでもなお、汚染物の妥当な廃棄先を決めず、「とりあえず除染してみる」、という行き当たりばったり政策は、もはや現政権の十八番とも言えそうだ。
◆CBS
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