子宮内避妊器具やコンドームは関連なし
生理不順の改善や避妊目的で女性がよく利用しているピル。あまり副作用が無いと言われていたが、女性のピル使用によって男性の前立腺がんのリスクが高まるという研究が昨年11月の英医学誌「BMJ Open」に掲載されている。
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」によると、前立腺とは男性のみにある臓器で精液の一部をつくる役割がある。日本国内で前立腺がんは1975年以降に増加傾向にあり、死亡率は90年代後半から横ばい状態である。
ピル使用による男性の前立腺がんリスク増加を研究したのはカナダ・トロント大学プリンセス・マーガレット病院のDavid Margel氏。Margel氏は2007年の国際がん研究機関のデータを用いて、男性の前立腺がんの発症率とともに一般的な避妊対策をしている女性の割合も計算した。
データをまとめたところ、子宮内避妊器具やコンドームといった避妊具では、前立腺がんリスクの増加がみられなかったという。一方、ピルの使用は前立腺がんの発症率や死亡率に関連していた。
原因はピルに含まれる女性ホルモンか?
ピルには合成女性ホルモンが含まれており、最近ではこの女性ホルモンの中にあるエストロゲンが前立腺がんを発症させるのではないかといった意見も出ている。
例えば、ピルを使用した女性の尿にエストロゲンが含まれており、その尿が川に流れ飲用水として再び人の体内に入るというケースだ。今後はピルの使用にあたって、こうした環境ホルモンへの影響も考えなければならない。
BMJ Open
http://bmjopen.bmj.com/content/1/2/e000311.abstract?sid=0b936c2f-e261-44cb-9dd7-7f7f7efb3b26