休眠口座の預金を政府が「活用」
15日に開かれた「成長ファイナンス推進会議」で、驚きの政策が検討された。
銀行や信用金庫などの口座で、10年以上出し入れのない「休眠口座」に預金されているお金を政府が勝手に使う、というものだ。
人の財布に手を突っ込む所業
あまり知られていないが、銀行預金は5年、信用金庫などの預金は10年出し入れされないと、法律上は預金者の権利が消滅する。
ただ実際には、金融機関がそれ以降の期間も払い戻しを行っており、休眠口座の預金は守られている。
毎年約850億円の休眠口座が発生し、このうち350億円は払い戻しが行われているが、500億円については、預金者と連絡も取れず、そのまま預金された状態が続く。
古川元久国家戦略担当相が議長を務める「成長ファイナンス推進会議」が検討するアイディアは、こういった預金を新しい雇用や産業の創出につながる起業に利用する、というものだ。
大手銀行からは「人の財布に手を突っ込むような所業」として、厳しい反発の声が上がっている。
ビジョンなき泥棒行為
どうせ使われていないお金だから、という発想は乱暴きわまりないが、理念には一考の価値があるようにも思える。
ただ、こういった資金をいざ利用するにあたっては、政治家による昔ながらの「利益誘導」が発生することは、容易に推測できる。
結局、新たな資金はまたしても過疎地に「熊しか通らない道路」を作るだけだ。資金確保の前に、どういった成長戦略を持っているのか、その点をあきらかにすべきだろう。
人の財布に手を突っ込むなら、ビジョンぐらい先に示すのが筋ではないか?
◆成長ファイナンス推進会議
http://www.npu.go.jp/policy/policy09/archive07.html