武器輸出で経済再生
中国のニュース配信サイト「人民網」は11日、「日本の軍需産業はアジア一、地域構造を変える力を持つ」とするコラムを掲載した。
武器輸出制限を緩和すれば、軍需製品輸出の世界市場で相当のシェアを占める可能性がある、という。
一石を投じたインドネシアへの巡視船供与
民主党政権は昨年11月30日、国産の巡視船3隻をインドネシア政府に供与した。マラッカ海峡の海賊やテロ活動取り締まりを支援するため、政府開発援助の一環として行われたものだ。
「人民網」ではこれを武器輸出制限の緩和に向けた第一歩と見ている。
世界市場の半数を奪うことも
日本の軍需産業は第二次大戦後瓦解した。その後、朝鮮戦争勃発とともに復興したが、国内の需要をまかなうのみであるため、企業経営の柱にはなりえず、軍需産業にたずさわる企業も、民需品を売り上げの中心に据えている。
ただ技術力、製品の信頼性は世界でもトップレベルにあることから、もし輸出制限が緩和されれば、世界市場で大きなシェアを獲得できることは間違いない。
艦船や電子機器で半分、航空・宇宙分野でも市場の1/4を占める、と「人民網」では予想する。
米軍事情報専門誌「ディフェンスニュース」が発表した2006年の統計では、世界の軍需産業上位100社の売り上げは3197億ドル(約25兆円)だった。
軍事費の大半が兵士や職員の人件費であるため、思ったより多くない、という印象を受けるが、国家が購入者であるため、代金の支払いがスムーズに受けられるなど、企業側のメリットは大きい。
野田政権のもくろみは?
現在、「武器輸出3原則」などの規制があり、国産武器の輸出は難しい。2010年にはこれを緩和することで、外務省、防衛省、民主党が合意したが、当時の菅首相が反対したため、実現しなかった。
中国側には、野田政権下で行われたインドネシアへの巡視船供与について、民主党政権が武器輸出緩和に向けて舵を切ったあかし、と見る向きもある。
不況が続く中、倫理的な是非と経済再生をはかりにかける時期が来ている日本の状況を隣国はすでに察知しているようだ。
◆人民網
http://j.people.com.cn/94474/7701637.html