処方後に急変して死亡する例が多い?
インフルエンザ治療薬「タミフル」について、21日、使用中止を求める要望書が小宮山厚生労働省に提出された。
要望書を提出したのは、薬害を調査研究するNPO法人「医薬ビジランスセンター」(代表・浜六郎医師)。2009~2010年に新型インフルエンザで死亡した患者のうち、タミフル処方直後に容態が急変した例が多いという。
Pieria (Uploader and Photographer)タミフルで異常行動や突然死
タミフルはスイスのロシュ製薬が製造。国内では子会社の中外製薬が販売する。インフルエンザの治療薬として、もっとも一般的に用いられている。
同NPO法人の調査によると、2009~2010年に新型インフルエンザで死亡した全患者198人のうち、119人がタミフル処方後に死亡。さらにそのうち38人は処方後12時間以内に容態が急変したという。
タミフル処方で死亡率が低下、というデータも
ただこれとは反対に、タミフルの早期処方は子どものインフルエンザ死亡率を大幅に低下させる、というデータもある。
慶応大学とけいゆう病院(横浜市)が共同で行った調査によると、米国ではインフルエンザ発症から48時間以内にタミフルを飲んだ子どもは39~51%にとどまった。
日本では89%が48時間以内に飲んでおり、この差が死亡率の違いを生み出しているという。
厚生労働省のデータによると、新型インフルエンザによる人口10万人あたりの死亡者数は、米国が3.96(推計)なのに対し、日本は0.16とほぼ1/25の少なさだ。
ネット上で信者と批判者がバトル
今回、タミフルの使用中止を求める要望書を提出したNPO法人の代表である浜六郎医師については、ネット上で「信者」と「批判者」が激しい応酬を繰り広げてきた。
同医師は他にも、「高血圧は薬で下げるな!」、「コレステロールに薬はいらない!」といった医療の常識に反する書籍を多数出版している。
2007年には浜医師の主張により厚労相が、10代患者へのタミフル処方を原則控えるよう、緊急安全情報を医療機関に配布することを中外製薬に求めた。
ネット上には、こういったエキセントリックな姿勢を持つ医師の「要望」が一定の影響力を持つことを危惧する声も多い。
◆オセルタミビルと突然型死亡:2009A/H1N1 インフルエンザの
相対死亡率研究(proportional mortality study)
http://www.npojip.org/sokuho/no151-1.pdf◆yomiDr.
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=52117