人権委員会の経緯
2011年12月15日、法務省は「人権委員会」設置法案の概要を公表した。「人権委員会」とは、2002年の小泉内閣時代に国会に提出された「人権擁護法案」の内容が大幅に修正されたものである。
「人権擁護法案」にはメディア規制条項などがあり、異論が出されていた。そのため、当時は審議が進まずに廃案となった。今回公表された「人権委員会」は、メディアの自主的な取組みに期待し、メディア規制条項は盛り込まなかった。
人権委員会の内容
「人権委員会」とは、不当な差別、虐待その他の人権侵害及び差別助長行為があった場合に、調査を行い、必要に応じて勧告などを行うことで被害者の救済を行うものである。
法務省が公表した法案の概要によると、「人権委員会」は国家行政組織法上の3条委員会という位置づけとなる。つまり、「人権委員会」は独自に規則を制定できたり、独自に人事権を持ったりする機関となり、法務局の外局となる。
しかし、「人権委員会」による調査には強制力がなく、この調査を拒否した人に対して罰則が設けられているわけではない。
何もかも罰則を設ければいいわけではないが、人権侵害や差別助長行為の被害者を救済するための機関による調査が事実上拒否できるということがどのような結果を生むのか心配だ。
「人権委員会」の内容がしっかり決まり、いざ運用されるようになったら、是非うまく機能してもらいたいと願う。
人権委員会の設置等に関する検討中の法案の概要
https://docs.google.com/viewer?url=http%3A%2F%2Fwww.moj.go.jp%2Fcontent%2F000082631.pdf