89歳の母親から年間42億円ずつ
国会議員の資産等補充報告書が2日に公開された。鳩山由紀夫元首相と鳩山邦夫元総務相は2011年、母親である安子さん(89)からそれぞれ42億円にのぼる株式や土地などの贈与を受けたことがわかった。今回は贈与税も納めたという。
贈与税は24億円
鳩山元首相が贈与されたのは、ブリヂストン社の株式350万株(時価約18億円)と非上場企業の株式、北海道室蘭市の土地など。弟の邦夫氏もブリヂストン社の株式375万株のほか、非上場企業の株式、福岡県久留米市の土地などを贈与された。
預金額も2011年に、鳩山由紀夫元首相は24億1,100万円、鳩山邦夫元総務相は24億5,050万円増えた。
両氏に資産を贈与した母親の安子さん(89)はブリヂストン創業者である石橋正二郎氏の長女。
「平成の脱税王」が今度は納税
鳩山由紀夫元首相には「平成の脱税王」との異名がある。2010年、7年間にわたり、母親から贈与されてきた12億円にのぼる資金についていっさい申告していなかったことが発覚した際、衆議院予算会議の中で与謝野馨議員が名付けたものだ。
「知らなかった」で通した鳩山由紀夫首相は、結局修正申告のみで罪に問われることはなかったため、自民党の谷垣総裁なども「バカバカしくって税が払えない」との声がある、と指摘した。
実際、2世、3世議員が贈与税や相続税を申告する例は少ない。政治資金管理団体を迂回すれば、無税での贈与や相続が可能だからだ。
自民党の歴代総理経験者でも、森元首相、小泉元首相、安倍元首相など、そうそうたるメンバーがこの手法で「脱法脱税」を行っている。生真面目に申告した例外は麻生太郎元首相だけとされる。
申告したのは消費税がらみ?
鳩山家の資産は300億円ともいわれる。最高税率50%になる贈与税が課されないよう、「貸借」などを装って長年にわたって少しずつ贈与されてきた。
42億円を一気に贈与し、まともな税金を支払ったのは、ほとんど初めてのケースだ。背景には、消費税にまつわるそれぞれの立場がある。
鳩山由紀夫元首相は民主党の中にありながら反対を表明。邦夫元総務相は採決を棄権した。体制に反する行動をとる中、一般であれば違法とされる「節税」を行えば、今度こそ刑事責任を追及されかねない。
もともと支払うのが当たり前なのだが、24億円の税金は鳩山家にとって「消費税反対運動費用」と呼ぶべきものかもしれない。
◆鳩山由紀夫オフィシャルホームページ
http://www.hatoyama.gr.jp/