ペスト感染で危篤状態
米ポートランドで腺ペストとみられる患者が報告された。ペストは死亡率の高い感染症で、14世紀に欧州で流行した際には、全人口の1/3が感染により死亡したとされる。
Karlskirche猫に噛まれて発症?
米ポートランド厚生当局の発表によると、ペストに感染したのは50代の男性。野良猫がくわえていたネズミを取り上げようとして猫に噛まれ、数日後に高熱などの症状を発症したという。
ペストには腺ペスト、ペスト敗血症、肺ペストの3種類がある。いずれも病原体は同じ細菌。リンパ腺がおかされる腺ペストが全体の80%~90%を占め、重症になると全身に黒い斑点が現れるペスト敗血症へと進行する。
腺ペスト、ペスト敗血症患者の約2割が肺ペストに移行する。肺ペストは死亡率が非常に高く、治療の遅れが命取りになる。
現在でも、世界では年間2,000人がペストで死亡。昨年もペスト菌をあつかっていた米シカゴ大学の研究者が感染し、死亡した。
感染源はネズミ?
自然界では、ネズミやリスなどがペスト菌を保有する。こういった動物の血液を吸ったノミに菌が移り、さらにノミから人に移ることで、腺ペストが発症する。
肺ペストに移行すると、咳などの飛沫によって、人から人への感染を起こすようになり、一気に大量の感染者が生まれる。細菌感染症であるため、抗生剤が効果的で、現在では治癒する可能性は高い。
生物兵器としてアルカイダも注目
感染力の強さ、死亡率の高さなどから、米国や旧ソ連邦などもペスト菌を生物兵器として利用するため、研究を続けてきた。
2009年には国際的なテロ組織、アルカイダがキャンプ内でペストにより死亡した同志の遺体を用いて、ペスト菌の開発を行っている、との情報も流れた。
衛生状態が悪い山中のキャンプで腺ペストが流行し、40人以上のアルカイダ兵が死亡した際、体組織を利用して生物兵器の実験を行ったという。
感染しても治療費は不要?
日本では、1899年に初めて国内で患者が確認されている。その後、何度か流行がみられたが、1926年を最後に、患者は発生していない。
感染症法により1類感染症に指定されている。同じ1類には、天然痘やエボラ出血熱が含まれる。
もし感染した場合も、1類感染症の場合には、多くの自治体で感染症医療費助成によって治療費の全額が支給される。
◆ibtimes
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