中高年の多くに老後の蓄えなし
東京大学の研究チームはこのほど、「中高年者の生活実態に関する全国調査」の結果を発表した。それによると、中高年男性の約4割、女性の5割がまったく資産がないことが判明。子どもからの援助も、大半の人が受けていないことがわかった。
老後の生活は八方ふさがり
調査の対象となったのは、日本国内に居住する50~84歳の男女9,800人。有効回答は6,442人分が集まった。
金融資産やその他の資産について、中高年男性の38.2%、女性の53.4%が「まったく持っていない」と回答。男性では一人暮らしの人で特にこの傾向が強く、57.8%にのぼった。
18歳以上の子どもとの間で行った定期的、日常的な支援についても、85%が「やりとりはない」と答えている。
また国民年金や生活保護制度についても、約4割が信頼できないと回答しており、老後の資金計画について、まったく見通しの立たない状態であることがわかった。
貧困化し、孤立する中高年
いざというときに頼れる人的資源について訊ねた質問についても、年齢が高くなるにつれ、少なくなる傾向がみられた。
近所づきあいが薄くなる中、年齢層を問わず、「近所の人」を人的資源にあげる人は少なく、中高年が貧困化するだけでなく、孤立が進む状況も浮き彫りとなった。
生活保護費は年間3兆7,000億円という巨額にのぼっているが、当該調査からは、この予算がさらに加速的に膨らむことが予想される。
◆東京大学
http://www.u-tokyo.ac.jp/index_j.html