宗教団体の映画をテレビが宣伝
テレビ会がついに禁を破った。宗教団体「幸福の科学」が制作した映画「ファイナル・ジャッジメント」のテレビCMを放送し始めたのだ。
初登場で4位にランクイン
同映画は近未来の世界を扱い、外国に侵略・占領された日本を若者たちが救うというストーリー。日活系の映画館、全国198館で公開され、封切り第1週の興行成績は、邦画部門で4位に食い込んだ。
CMでは派手なアクションシーンが流れ、一見しただけでは宗教団体が制作したものとはわからない。
レビューは当然の「絶賛」だが
「goo映画」の評価をみると、全体では41点の低評価にとどまっている。ただ、レビューを入れている人はほとんどが90点以上の高評価を与えており、書き手の偏りは鮮明だ。
これまで幸福の科学が制作し、公開した映画も、封切り初週は信者たちが映画館に足を運ぶため、興行成績の上位に入るが、その後はジリ貧になるものがほとんど。ランクインしても、映画関係のランキング番組などでは無視されるのが通例だった。
「不偏不党」は放送法の大原則
宗教団体が制作した映画をマスコミが礼賛も批判もしないのは、当然のことだ。放送法の第1条には、事業者に対して「不偏不党」を求める一文がある。
二 放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。(放送法 第一条二)
これまでテレビ各局は、この法律を遵守して、特に新興宗教に関する宣伝などは控えてきた。今回、「ファイナル・ジャッジメント」のテレビCMを放送するにあたって、法律や社会情勢が変化したわけではない。
インターネットに食われて収入が激減状態にあるテレビ局が、ついにタブーを破っただけのことだ。
心配される「自粛」
こういった宗教団体をクライアントとすることで心配されるのは、テレビ局の「自粛」である。原発事故において、クライアントである東京電力に配慮するあまり、事故の影響を過小に報道し続けた「前科」は記憶に新しい。
また生活保護費の不正受給問題では、安価な人材を提供する吉本興業に対する「配慮」から、不正はなかったとする論調が目立った。幸福の科学についても、今後は礼賛傾向が続くものとみるのが妥当だろう。
操を売れば金になるのは、人も企業も同じだ。ただ尊厳を露骨に換金するものは、卑しむべき存在とみられることをテレビ局は覚悟すべきだろう。
◆幸福の科学
http://happy-science.jp/