車両から家庭に電気、プリウス一台で電力4日分を供給

2012年06月04日、トヨタ自動車は、プラグインハイブリッド車（PHV）や電気自動車（EV）などの電気利用車両と住宅との間で電力を相互供給するシステムを新たに開発したと発表した。

このシステムを搭載したプリウスPHVを年内に発売する予定だ。

プラグインハイブリッド車は、充電した電力を使い切ってもハイブリッド車としてガソリンで走行することができるため、電力を住宅に供給しても、いつでも車両として走行することができるという利点がある。

今回の取り組みで使用するプラグインハイブリッド車には、災害時の避難所などにおける利用を想定し、車両から家電製品に電力を直接供給することができる機器を装備するという。

このプラグインハイブリッド車1台で満充電およびガソリン満タンの条件下なら、一般家庭の日常使用電力約10kWhの約4日分に相当する電力を供給することが可能。

また、災害時などには車両の蓄電池を非常用電源として利用し、手動切り替えで車両から充電スタンドを介して家庭内の照明やコンセントへ交流電力を供給することができる。

さらに今回開発した『V2H』は、プラグインハイブリッド車や電気自動車と住宅の間で、電力をやりとりできるシステムで、住宅に設置された蓄電池や車両の電池を使い、太陽光発電による電力や低コストな夜間電力を備蓄し、電力需要のピーク時間帯などに車両に蓄えた電力を交流電力で家庭内に供給する。

このような最適な電力の流れは、家庭内に設置されたエネルギーマネジメントシステム（HEMS）が自動制御する。

このプロジェクトは、『豊田市低炭素社会システム実証プロジェクト』の一環として2010年4月に始まり、実証住宅の約10世帯を対象に、プリウスPHVを使って2012年末から『V2H』システムの供与を開始する予定である。

電力需給逼迫への対応や再生可能エネルギーの本格導入、また、災害時の非常用電力供給などのニーズが高まる中、スマートグリッドへの関心や電気利用車両の蓄電池活用が期待されている。

これを受けてトヨタは、新規開発した『V2H』システムを通じて、より低炭素で無駄のないエネルギー活用に貢献し、豊田市プロジェクトの目指す「地域のエネルギー自立化」を支援する。



トヨタ自動車
http://www2.toyota.co.jp/jp/news/12/06/nt12_0603.html